1/1ﾍﾟｰｼﾞ目 【句集争奪戦１】 「・・・・にしても、相変わらずだよね。」 「突っ込むな、総司。」 「そうそう、これは突っ込んじゃいけないって！」 幹部が広間に集まり、ある句集を目の前に大笑いしている。 そこにいないのは、その句集の作成者である土方だけであろうか。 もとは、沖田が持ち出してきたらしくそれ以来沖田が持っているらしい。 無くなった事は、土方さんも気づいているらしい。 しかし、誰が持っているかまではわかっていない。 それが、ここで笑いのネタにされているなんて知ったらきっと怒るだけじゃすまないだろう。 沖田は、持ってきたお茶をすすりながらその句集を読む。 「にしても、土方さんも気づかないのな。」 「そう言う左之も気づかないだろ、絶対。」 「そうそう、言われて初めてって感じがするもん。」 「うるせぇ。」 左之は、新八と平助の頭を軽くたたき沖田が読んでいる句集を覗きこむ。 そこには、土方が愛情をこめて作ったと思われる句が並んでいた。 「土方さんに仕えてて、離れたいとか思ったことないの？一君。」 「・・・あぁ、句が書けなくても副長の采配は見事だ。」 「斎藤の方が、句書くのうまそうだよな。」 「そんな事はない。」 「土方さんに遠慮することないって！これよりは上手いでしょ！！」 そう言って笑う平助を見る周りの顔が、段々と青ざめていく。 平助は気づいていないのか、沖田から奪い取った句集を見て大笑いしている。 「逃げましょうか。」 その小さな沖田の一言に皆が頷く。 しかし、大笑い中の平助には聞こえていなかったうえ、まだある存在に気づいていない。 そう、平助の後ろには土方が立っていたのだ。 それに気づいた幹部達は、土方の動きを見る様に後ろに後退していく。 そして、散り散りに走って屯所を駆け回る。 平助はと言うと、気づいた時にはもう周りに誰もいなく土方と二人きりと言ういやな雰囲気の中に居た。 すぐに、平助がつかまり次に走ったせいで咳き込んでいた沖田を捕獲と同時に山崎に預ける。 そのまま、松本先生の所に連れていくように指示し、他の幹部を探す。 走っていくと、近藤の部屋に入り込んでいく人影が目に入る。 その人影が逃げないように、後ろを歩いていくとそれは新八だ。 土方は、刀を抜きたがる手を抑え込み素手で新八を捕まえ平助同様、自室に連れていく。 残るは、左之と斎藤の二人。 斎藤は、影の隊務が多いせいでこういう事には慣れている。 それなら、見つけやすい左之を探し出す方が速いだろう。 「斎藤、ここで本当にばれないのか？」 「あぁ、この道を知ってるのはあまりいない。 平助、総司、新八が捕まった今、俺達以外逃げている者はいない。」 二人は、屯所内にある中庭のほそ道に隠れていた。 ここは、よく斎藤が皆に秘密の仕事ができた時に使う出入り口だ。 知っているのは、もちろん斎藤だけ。 もし、いるとしたなら監察の山崎くらいだろう。 しかし、その山崎が沖田を連れていなくなったことを知っている今、ここは最も安全だと思われた。 「甘いな・・・お前ら、そんなんじゃ刺客からやられるぞ。」 「「っ？！！」」 「ただいま戻りました、副長。」 そう、残念な事に山崎もここを使っていたのだ。 だから、沖田を送って土方の元に戻る際この二人に遭遇してしまい土方に見つかってしまった。 半ば諦めている斎藤の手をひっぱり、左之は走り出す。 とりあえずは、平助と新八の救出。 そのため、土方の部屋に恐る恐る入り込むとそこには首を横に振っている平助と新八がいる。 「どうした・・・っ？！！」 斎藤の手を離し、左之は後退する。 確かに、さっきまで中庭に居たはずの土方が今目の前に居る。 さっきのは幻覚かと思い始めていると、そこには楽しそうに笑っている近藤さんがいた。 「トシの後姿も難しいものだな。」 「近藤さん。」 左之と斎藤が、安心しきって部屋に入った瞬間ふすまが締められる。 恐る恐る後ろを見ると、そこには微笑を浮かべた土方が立っている。 「俺の句集、読んでどうだったか感想を聞かせてもらおうか？」 それから、しばらくの間部屋から出してもらえなかったことは言うまでもない。 後書き イベ用の書いていたせいか、初って感じが全くしない； この話、何気続けてみたいのでお暇であればお付き合いくださいませｗ [指定ﾍﾟｰｼﾞを開く] ＜＜重要なお知らせ＞＞@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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