あるす☆まぐな!

「つーくーもーちゃん!起きてよ九十九ちゃん!」
誰かが俺を……
「まったく…来て早々これとは大した奴だな」
「ほっとけば?そんな奴」
「やっましたー!起きなさいってばー!」
誰かの足が、俺の顔目掛けて飛んでくる。一瞬白い物が…"ヴォァッ!…ってぇな…何すんだよ…ってなんだぁ?!"油断している隙に足が顔に直撃した。
激痛に目が覚める。
「やっと起きたわね、山下」
目の前に居たのは、いつものメンバーだった。
のえる、一条、アレックス、紗久良先輩、美子ちゃん。それに瑠華先輩まで居た。
「九十九ちゃん!おはよー♪」
のえるは元気よく俺に抱きついてくる。その力と言うと…息苦しくなるくらいだ。
「おはよう…ござい…ます……です…」
美子ちゃんは本を抱えながら頭を下げて挨拶をする。
「美子ちゃんは礼儀正しい子だな、一条と違って」
美子ちゃんの頭を優しく撫でながら、一条の顔を何度かチラ見する。
「えーえー、あたしは礼儀正しくない子ですー!」
腕を組みながら口を尖らせ俺を睨んでくる一条に俺は言い返す。
「そんなのじゃ、アイドルになるには程遠いな!」
一条に近付いて、尖った口を指で摘むと上に引っ張る。
「いはい!いはいからはらしえ!!」
「はいはい、喧嘩はそこまでにしましょうね」
「山下はいつまでも子供ね」
紗久良先輩が俺と一条を離すと、瑠華先輩が横目で俺を睨んでくる。
「紗久良先輩;それに瑠華先輩まで;」
「あはっ♪山下のバーカ♪」
さすがの俺も先輩には何も言えず、焦った顔を見た一条は笑いながら俺を挑発してくる。
「てめー、一条ーッ!」
俺は怒りを抑えきれず、一条を追いかけようとする。
「九十九ちゃん!今日は何の日か知ってるよねー?」
一条を追いかけようとした瞬間、のえるが俺の腕にしがみ付いてきた。
「ちょ、ま…はぁ……ん?今日か?今日何かあるのか?」
「お前忘れたのか?!人の誕生日忘れるとは…最低な奴だな」
「忘れたって…;誕生日って誰のだよ?アレックスのか?;」
必死に思い出そうとはするが、どうも思い出せない。アレックスが言うには、誰かの誕生日らしいが…まったく思い出せない俺は、ただ彼らに聞くしか無かった。
「ご存知なくって?今日は瑠華さんの誕生日よ?」
「…ふん」
紗久良先輩の言葉に少し驚いた。
すると、瑠華先輩が少し怒ったように俺を見て何処かへ行ってしまった。
「ま、待って下さいよ!瑠華先輩!」
「おい、待て!山下!」
俺は、止めようとしているアレックスを無視して必死に瑠華先輩を追いかける。
「あ、居た!」
「何付いて来てるのよ、馬鹿」
「なんで逃げるんですか!」
声を掛けた途端、瑠華先輩は走って逃げる。
「待って下さい、瑠華先輩!」

ガシッ

「離しなさいよ!」
瑠華先輩の腕を掴み、逃げられないように力を入れ・
「怒ってるんですよね、すみません;」
「べ、別に怒ってなんて無いわよ…!」
必死に手を離そうと腕を振るが、俺は一向に離そうとしなかった。
「祝いますから。一生心に残るような誕生日にしますから」
瑠華先輩の腕を引き寄せ、自分の方へ寄せると俺の方を見させ。
「別にあんたなんかに祝ってほしくないわよ」
俺から顔を逸らし、思い切り腕を振り下ろす。
俺は思わず手を離してしまった。
「…素直になればいいんですよ」
「五月蝿い!あんたなんかに私の気持ち分かんないでしょ!」
涙ぐんだ目で俺に怒鳴ってくる。
「…」
その表情に、俺は何も言えずに黙り込んでしまった。
「九十九ちゃーん!瑠華ちゃーん!」
「山下!」
「九十九君!」
すると、後ろからのえる達が走って近付いてくる。
「お、おい!何だよいきなり!」
「…ッ」
のえる達に目を向けている隙に、瑠華先輩はまた行ってしまった。
「待って!瑠華先輩…」
瑠華先輩を追いかけようとするが、もう手遅れだと思ったのでその場で止まる。
「おい山下、どうしたんだよ!」
「俺…瑠華先輩に情けない事しちまった…」
「僕には何があったのか分からない…関係ないしな」
「つまり、瑠華さんを泣かせてしまたんですね?」
「い、いや…泣かせてはないけど…;」
「えーッ?!九十九ちゃん、瑠華ちゃん泣かせちゃんたのぉ?!!」
のえるの早とちりに呆れる…。
「だから違うって;」
「ええ!九十九ちゃん最低だよー!見損なったよぉ!」
いくら説明しようとしても、のえるはそのまま話を進めてしまう。
「山下、いくら僕に関係なくとも…お前最低だぞ…」
「まったくですね…九十九君、貴方は女の敵です」
アレックスと紗久良先輩までのえるの早とちりに乗ってしまい。
「山下さん……貴方…そんな人…だった……ですか…」
美子ちゃんまで乗ってしまった。

ガサッ

「女の敵は、このアプリコットちゃんが退治してやるぞーッ!」
「えッ?!ちょ、一条待てよ!お前ま…ぐふぉッ!」
(よって、九十九は死にました)



「九十九ちゃん元気かなー?」
「九十九?誰それwwアプリコットちゃんは覚えてないぞー?」
「山下の事だろ、馬鹿が。ま、僕には関係ないからな」
「ええ、わたくしにもご関係ありませんし…。もうほっておいたらよいかと^^」
「馬鹿馬鹿しい。帰るわよ」
「はい……帰る…のです……」

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