音楽ってなんだっけ?

2012年02月07日(火)
【リリーとポリー】

ハリー・ウェンズデイの家に生まれた双子の娘ポリーとリリー。

家を出るまでの15年間ポリーはハリーに同じ質問を何度も繰り返した。

『お父さんは私を愛してる?』

ハリーは答える。

『もちろんだよ』

ハリーはこの質問をぶつけられる度に思った。

『ポリーは愛情を必要としている。こんな質問をさせる自分は父親として頼りないのだろうか?』

と。

しかし、彼女の質問はハリーの愛情を確かめようと思った訳でも、リリーへの嫉妬でもなかった。

ポリーは愛されてようと愛されてなかろうとどっちでもよかった。

『私はお父さんもリリーも愛していない』

『私はあなたたちに何の感情も持ち合わせていない』

なのに、なぜ私を愛そうとするの?なぜ私を救おうとするの?

しかし、彼女はこの疑問をけして口に出す事はなかった。


リリーはいつでも良き姉だった。

正確には3歳で失明したポリーを想い、良き姉でいようと感じていた。

『リリーはいいお姉さんだね』

この言葉をかけられる事が幼い彼女にとっての小さな誇りだった。

そしてその誇りが彼女を狂わせる事になる。

リリーが10歳の時、親友と呼べる友達ができた。

何でも話せる友達、気をゆるせる友達、リリーは自分でもなんでこんなに嬉しいのか分からないくらい嬉しくてたくさん話をした。生まれて初めてと言ってもいいほどに。

リリーの話を聞いていた友達からふと出た一言。

『リリーはポリーの事が嫌いなんだね』

その子にとってはただ思った事を口にしただけ、責めるつもりも批判してるつもりもない言葉だった。

しかし、リリーには違った。

彼女が自分自身に感じていた疑問。

『いい姉…優しい姉…』

私はポリーがいなかったら何者なの?

姉でない私が『ただの私』として誰かから認められる事はあるのだろうか。

『いいお姉さんだね』

違う。

『優しいお姉さんだね』

違う。

私もお父さんに愛されたいよ…私は姉じゃないよ。リリーだよ。

『なんでポリーばっかり…』

彼女の闇は広がる。

しかし、彼女は家を出るまでの15年間ポリーの良い姉であり続け、自分の闇を誰にも見せる事はなかった。

『ねえ、お父さんは私の事を愛してる?』

と聞けないままに、広がる闇に気づかないままに。




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