第12話 こぼれる想い

いよいよ、ヘインの歌手デビューが目前に迫っていた。
そして、ヘインの初ステージ場所は、スキーリゾート地の一角にあるコンサート会場に決まった。

ところが、コンサート当日にゴンウの父ガンイン会長の命令で突然、会場が閉鎖される。

閉鎖理由は、KNT通信の株を担保にゴンウが自社の運営資金を調達した事が、父ガンイン会長の逆鱗に触れての事だった。

「ビジネスパートナーとして、相応しいシンヒと結婚するならば、ヘインのコンサートをさせてやる」と、父ガンインはゴウンに詰め寄る。

「会社もコンサートも諦めます。でも、ヘインだけは諦めません!」と、ゴンウはキッパリと答えた。

その頃、突然の閉鎖でコンサート会場は混乱していた。
ジャンホとジンピョが来場者の対応に追われていた。

ジュンヨンとヘインは、レストランの責任者と交渉して、白いグランドピアノを借り受けた。

一度は諦めかけたがジュンヨン達は、スキー場の一角で、野外デビュー・コンサートを開催する事にした。

白銀のゲレンデの世界で、ジュンヨンの弾くピアノ伴奏、そしてヘインの澄んだ歌声が響き渡る。
ヘインは大歓声の中、デビューコンサートを成功させた。



このコンサートをきっかけにスターへの階段を駆け上がり、ヘインの写真がスポーツ紙の一面を飾り、CDは飛ぶように売れ始めた。

ジュンヨンは、ミスクから「ヘインが最近ジュンギュさんの話ばかりする」と、聞かされる。

又、ミンホからは、「ジュンヨンだとバラされたくなければ消えろ!」と、脅された。

このまま自分がヘインの側にいれば素性が明らかとなって、最愛のヘインと親友ゴウンの幸せを奪いかねない。
何よりもヘインに対する思いを抑えきれなくなる。
こうしてジュンヨンは、「イン企画」を去る決心をする。

旅立ちの日にジュンヨンは、「隠れ家」に行って、最後の時間を過ごす。

そこへ、ヘインが現れて動揺する。



「何故、ジュンギュさんがココに…?」

「ごめん…、勝手に入って。汽車に乗る時間だから行くよ」

淋しげな眼差しでヘインを見つめて、隠れ家を立ち去るジュンヨン。

ギターを弾いてたジュンギュの姿と窓に書かれた『愛してる』の点字の文字…。

ヘインは、急いでジュンギュを追い掛けて、大声で叫んだ。

「…ソ・ジュンヨン!!ジュンヨン!!」

ヘインは立ち尽くす、ジュンヨンの元に駆け寄った。
そして、涙で濡れた顔に触れて、彼が最愛のジュンヨンだと確信する。

「やっぱり、ジュンヨンじゃない…!ジュンヨンの馬鹿…馬鹿…!!」

ジュンヨンは、泣きじゃくるヘインを思いっきり、きつく抱きしめた……。






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