第19話 新たなる友情

強引にゴンウに連れ去られたヘインだが、周囲に翻弄された弱いヘインはもういない。
自らハンドルを遮きって、ゴンウの車を止めさせた。

『自分が愛しているのは、ジュンヨン』

ゴンウは、ヘインの毅然とした態度に何も言えずに黙って車のロックを解除した。

車を降りたヘインは、走り続け追い駆けて来たジュンヨンと抱き合い、何度もジュンヨンに愛を叫んだ。

『愛してる!ジュンヨン!』

失意のゴンウは、帰宅するとヘインと別れた事を父ガイン会長に報告して、殴られ罵倒される。

また、同時にガンイン会長の経営会社KNT通信に『秘密資金の造成容疑』で検察の捜査員が来る。
礼状が出ている事から、会長が事情聴取を受ける事になった。



しかし、実は全てサンジンが仕組んだ事だった。
ゴンウが進めていた新規事業の情報をライバル会社のジェイ・テレコムに流して、ガンイン会長が、脱税や背任罪に問われるよう仕向けた罠だった。
株式市場を刺激して、ジェイ・テレコムとKNT通信の買収を促進して、頂点に上り詰めるのが野心を持ったサンジンの狙いだった。

一方、ジュンヨンとヘインはミスクやジョンイルに結婚報告をして、承諾を得る事が出来た。

そして、ミスクとヘインはゴウンから与えられていた高級マンションを出て、アパート暮らしを始める。
経済的には苦しくなったがヘインには、とても幸せだった。

ジュンヨンは、新しいレコード会社との契約金で違約金小切手をゴウンのオフィスを訪ねて差し出した。

『これでケリがついたな。帰れ…』




ジュンヨンはヘインをスタジオに連れて行き、歌手としてヘインを復活させる為の楽譜を見せた。
●何度別れても
●恋をするのなら
●LOVE
全曲ヘインの好きな曲で、ジュンヨンが特別に選曲したリメイク曲。

ヘインは、嬉しそうにジュンヨンの見守る中で歌のレッスンを開始した。



ミスクはゴウンと会って、ヘインと2人で世話になった感謝の気持ちを伝えた。

夜にはバ−で酒を飲むゴウンを幼な馴染みのラン・シヒが迎えに来て、ゴウンは彼女に自分の心情を語った。

『今日、ジュンギュとヘインを見た…。
ヘインのあんな笑顔を初めて見た。
ジュンギュも本当に幸せそうで…。
初めて、ジュンギュがソ・ジュンヨンだと知った時、痛いほど解った…。
2人の愛が眩し過ぎて、俺…惨めだったよ。
だから、つい悪あがきして、あんな態度をとった…』

『それで良いのよ。そうして挙げれば、2人は自由になれる』

『悔やんでも仕方ない。いさぎよく祝ってやるか。
《おい、お前らが愛し合ってるのは解ってる。俺の事は心配するな!幸せになれ!》
これが中々、言えないんだ…。
俺がそういう風に言ったら、ヘインは、あんな風に笑ってくれるかな…』

その時、ガンイン会長が事情聴取の途中、心労で倒れ病院に搬送されたと連絡が入った。
2人は急いで病院へと駆け付ける。




ヘインはリメイク曲『LOVE』のレコーディングを終えると、作成したデモCDを宣伝する為にジュンヨンと共に各レコード会社を周り歩いた。

しかし、ジュンヨンとヘインに対して、KNT通信からの嫌がらせが始まっていた。

『パク・ヘインに協力するな』という主旨の文書が出回っていたせいだ。

ゴンウの仕業だと思ったジュンヨンは、ゴンウの元を訪ねて詰め寄った。



『そこまでするのか?』

『何が…?』

『ヘインの違約金は幾らなんだ?』

『そんな事を聞きに来たのか?お前の何百倍はしたな。
ヘインに聞けば済むだろ?あ…、ヘインとは契約なんて交わしていなかったな…』

『だったら、何であんな事をする!?
どこまでしたら気が済む!?』

『何の話か解らないが、今の俺には力はない。何かあれば、秘書に言っておけ』


ヘインは冗談を言って、ジュンヨンを笑わせる。

『あっ!笑った!あはは!いつも笑っていて!
ジュンヨンの怒った顔って、ホントに不細工なんだから!
ゴウンさんの事は、解ってあげなくちゃね…。
だって、私達、酷い事した訳だし…ううん…私が酷い事したから…』

『そうだな。ヘインは顔も可愛いし、心も綺麗だな』

その時、ジュンヨンの携帯にヘインのデモCDを聞いたという人から連絡が来て、待ち合わせをする事になった。

2人の前に現れたのは、新たにJP企画というレコード会社を設立した高校時代からの親友のジンピョとチョルスだった。
ジンピョは、親友ジュンヨンと改めて仕事がしたくて連絡をして来たのだ。

また、ゴンウが問題の怪文書とは無関係である真実。
KNT通信が危機に陥っている事。
ガンイン会長が倒れた事、を知らされてたジュンヨンとヘインは病院へと出向いたが、病室を訪ねる事を控えて遠慮した。

その後、ジュンヨンは1人居酒屋で酒を飲みながら、高校時代に親友ゴウンとジンピョと出会い、三人で過ごした様々な日々を思い出していた。



その頃、ゴウンの義兄サンジンは、ルームサロンでジェイ・テレコムとKNT通信の合併が現実味を帯び関係者と上機嫌で酒を酌み交わしていた。
ところが、ルームサロンでのジェイ・テレコム関係者との会話がミンホによって盗聴されていた。

その盗聴データをミンホから入手したファジョンは、好意を寄せるジュンヨンへ『ゴウンを救える物を持っている』と連絡して、ホテルに呼び出した。

ファジョンは、ジュンヨンの気を引こうと色気を放したバスロ−プ姿で出迎えた。
しかし、ファジョンの飽きれた行動にジュンヨンが帰ろとするとファジョン盗聴データを差し出した。

『これあげる!何もかもあげる!
あたし、どんな事でも出来る。
ミンホだって、裏切れるんだから!
ジュンヨン愛してる!ジュンヨンの為なら、何だってする!
だから、ねぇ、あたしを見てよ!あたしジュンヨンを愛してる!抱いてよ…!ジュンヨン!』

『何のつもりか知らないが、コレは要らない。
もう、こんな真似はするな。
ファジョン、お前は本当に美しい。
子供の頃は、お前だけが味方だった。
もっと、自分を大事にしろ。
お前を愛してくれる人はいるはずだ。
それは、俺でもミンホでもない。
愛してやれなくてゴメン。今まで、辛く当たって、すまなかった』

ファジョンは、ジュンヨンの気持ちを知って泣き崩れた。

その後、ジュンヨンは、ガイン会長を見舞うゴウンの病室を訪ねて、廊下で話をする。



『この間は誤解してた。すまない』

『構わないさ…』

『ファジョンから貰ったんだ。聞け』



『そんな、気分じゃない』

『聞いてみろ』

ゴウンは、ジュンヨンから手渡されたレコーダーをオフィスで聞いて、義兄サンジンを呼び付けた。

『面白い物を手に入れたんだ』

ゴウンは、サンジンの前で盗聴された会話を流して聞かせ、激しく問い詰めた。



『何で、こんな事!?何故!?』

『今更、言いたくない』

『黙って、手を引け!姉さんの為だ。
この事は、絶対に外には漏らすな。油断するなよ』

ゴウンに野望がバレたサンジンは、邪魔なゴンウを消す為に、ミンホに連絡を入れて『皆を集めろ』と命令を出した。




一方、ジュンヨンが帰宅途中にヘインにプロポーズする為の花を花屋で購入していると、ゴウンから電話が入った。

ゴウンがジュンヨンと会う為にオフィスから車で出て行くと、見張っていたミンホが後を追った。

待ち合わせ場所に向かっていたジュンヨンの目の前に大勢の暴漢に襲われるゴウンを発見した。

『ゴウン!!』

ジュンヨンがゴンウの救出に入る。

その光景は、かつて、ニューヨ−でゴンウがジュンヨンを助けた時の再現をするかのような光景だった…。




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